Der Process

人生が急激に落下してしまった。


冤罪事件の直後、そんな風に感じたのは確かなのだけれど、よくよく考えたら、もともとそれほど高い場所にいたわけではない。

時間が経てば経つほど、「急激に落下してしまった」などと、そんな風に思えた当時の自分の「高み」の意識のほうに驚かされるくらいだ。

 


しかし、自分が気を抜いているときなどに、数センチほどの段差で「足を踏み外す」ような瞬間は、それがわずかな高さでしかないにも関わらず、「急激な落下」の感覚が訪れもする。


「もう終わりだ!」と、そう思ったときに、自分の落ちたはずの身体が、わずかな段差に着地しただけのことに気付かされるときの、拍子抜けするような感覚と、一気にあふれでた冷や汗が皮膚と衣服の隙間に染み渡る感触。


「落下」の感覚と「高さ」の奇妙な関係性は、夢のなかで落下するときにもあらわれるような気がする。


おもえば、裁判というものの渦中におかれることも、どこか夢に似ていた。

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